申し訳ございませんが、本サイトはお使いのブラウザでは正常に動作いたしません。
Microsoft EdgeGoogle ChromeFirefox等をご利用ください。
2020年4月28日

内部監査業務の全体像について

企業の不正や不祥事が頻発し、内部監査の重要性が再認識されています。しかし、内部監査は新たな人材を配置しても専門的な知識やノウハウが必要な場面が多く、人材育成に時間がかかる部門です。

今回は内部監査の全体像についてお話しすることで、内部監査業務の理解の指針となれば幸いです。

1. 内部監査の独立性

内部監査は、組織内部の者によって実施される任意監査です。しかし、「監査」であることに変わりなく、監査であるためには、その独立性が保たれる必要があります。

外部監査ほどの独立性を求められることはありませんが、少なくとも被監査部門からは独立し、制約を受けることなく自由に、かつ、公正不偏な態度で実施できる組織体制が必要です。一般的には、社長や監査役会の直下の組織として、事業部門や管理部門とは別のレポートラインとすることが多いようです。最近では内部監査業務をアウトソーシングする企業も多くなってきました。

また、内部監査部門の組織的な位置付けだけでなく、その責任と権限を明確にしておくことも重要です。一般的には、取締役会など上位の意思決定機関で、内部監査規程を承認し、内部監査部門の権限と責任を明文化しておくことが多いようです。

2. 内部監査の全体的な進め方

内部監査は、大きくは「部署別監査」「テーマ別監査」「特命監査」に大別できます。部署別監査は、部署毎に内部監査を実施し、ます。テーマ別監査は、組織横断で特定のテーマについて内部監査を実施し、特命監査は組織内で秘密裏に実施します。内部監査の進め方は、概ね以下の手順で進めます。

  • (1)内部監査計画
  • (2)予備調査・内部監査実施計画
  • (3)本調査
  • (4)監査報告
  • (5)フォローアップ

(1)内部監査計画

内部監査計画は、組織全体の複雑性や重要性を勘案して、監査対象業務を決定し、リソースの配分計画を定めます。この際、ローテーションは推奨されておらず、年度ですべての監査対象業務の内部監査を行う計画を立案することが多いようです。全体の内部監査計画は、その責任を明示化するため、取締役会など上位の意思決定機関で承認する必要があります。

(2)予備調査・内部監査実施計画

内部監査計画に従って、内部監査対象部門へ予備調査を実施します。通常は本調査の1ヶ月以上前に行うことが多いようです。予備調査では、責任者に対して状況の説明を求め、規程やマニュアルの整備状況、データや書類の保管状況を把握します。この過程でリスク分析を行い、監査要点の認識や必要な監査手続を立案し、内部監査実施計画を作成します。

(3)本調査

内部監査実施計画に従って、内部監査対象部門へ本調査を実施します。規程やマニュアルに沿った業務が実施されているか、データや書類に関して不整合な部分はないか、不正な取引はないかなど事前に計画した監査要点について調査を実施します。発見した問題点は、責任者と協議し、実際の影響範囲と改善策を協議することも含まれます。

(4)監査報告

本調査の結果について、入手した監査証拠から総合的な判断を行い、改善・是正勧告を含めた監査報告として文書を作成します。監査報告は、取締役会、監査役などに報告されるとともに、内部監査対象部門にも報告されます。内部監査対象部門からは、原因と是正方針について回答を入手しておくと、フォローアップ時に有用です。またこの際に、改善・是正勧告だけでなく、アドバイザリー機能として具体的な改善提案を行うことが重要です。

(5)フォローアップ

内部監査報告の改善・是正勧告について、内部監査対象部門を継続的にモニタリングするためのフォローアップを実施します。重要な改善・是正勧告の場合には、即座に対応する事が必要であるため、内容によりフォローアップの頻度は決定します。

3. 特命監査

特定の事象が発生した、または発生する恐れがあることから、経営者や監査役等の依頼に基づいて、秘密裏に実施する監査です。基本的には不正調査が該当します。通常の内部監査では、予備調査・本調査ともに抜き打ちでの実施は推奨されません。これは内部監査では被監査部門の協力が必要であり、相当の準備をお願いすることが必要であるためです。しかし、特命監査に置いては、隠蔽等の恐れがあることから抜き打ちで実施することが重要となってきますので、進め方には厳重な注意を払う必要があります。

4. まとめ

内部監査では、外部監査とは異なり、きめ細やかなフォローアップとアドバイザリー機能(改善提案)を発揮することが重要です。今回は内部監査の全体像のみとなりますが、本記事が業務を進めるための参考となれば幸いです。